VOL 家を永く使うこと

 
超寿命化住宅から物語のある家へ
 
永く使われる家を作りたい」その想いが原点です。
短命である、とされる近代の日本の家、その壊される理由に向かいました。
 
「生活のスタイルに合わない」、「家族構成に対応できなくなった」、「夏、暑くて、冬、寒くて寒くて」と建て替えられる住宅。構造上の問題でなく、暮らし方や断熱等の技術の進歩が30年前の家を陳腐化させているのです。
 
はたしてそうでしょうか。
100年を超え立派に棲み継がれ、なお輝いているたくさんの家があります。本物の家です。
作り手のエネルギーを感じるなにかがあります。
 
急激な生活の変化や技術革新に対抗できる感動の何かです。
自然に寄り添った暮らしの仕方、木の文化、温故知新です。
 
世紀を超える暮らしを支えた家には、構想から始まって木の調達、棟梁のこだわりや悩み、何代にも亘る生活された方々の物語が詰まっています。
家づくりは、一つの物語のための序章なのかもしれません。
 
ご家族の「好い物語」が綴り続けられますように、快適で、様々な暮らしに対応できる可変性、太陽や月の動きまでも暮らしの中にあるような、自然を感じることができる家をつくりたいと考えます。
 
また、家には多くの資材やエネルギーが投入されます。
「家を永く使うことこそ」省エネでエコロジーなのです。

 
 
   宇野忠秀

 

 VOL自然と棲む

 
人間が人間らしく生き、暮らすために自然をつくる
「自然を感じたときが、いちばん和むのです」
「日々、四季や木々の新鮮な体験が」
とおっしゃいました。
 
「自然を感じて暮らしたい」という、人の深くに織り込まれた思いこそ、住まいの根底に問われる大事だと考えます。
 
きなりの家が、敷地のデザイン(ランドスケープ)から始めるゆえんです。
だからこそ、狭小地も変形地も活かすことができます。
 
土地に立って思いを巡らせる。
どこで食事をしたい、音楽は、ただ好い時間の場所は、・・・・子供が落ち着いて暮らせる場所は、朝気持ちよく目覚める場所は・・・・・
隣地の窓、緑、遠くの山、風の方向、方位と太陽の動き、
そこから緑、庭を構想します。
 
京都の民家は、縦長の敷地に中庭を抜き、緑を添え、路地を通し、風を流して、自然を楽しむ工夫に余念がありません。日本人の暮らしの文化そのものです
 
ランドスケープデザインと窓の設計を通して、いつも暮らしのどの場所、時間からも自然を感じて好い時を過ごせる家を設計したい。
 
添えられた緑が町の景観や近所のかたがたの楽しみにもなることを願って。
 
町に自然を 家を建てるときに木を植えることを考える
自社で庭をつくる
町並み、景観、将来を予測する
 
   宇野忠秀

 

 VOL無垢、自然素材の健康な木の家をつくるきなりの家

 
木材は自然成長資源であり、持続可能な建築資材の代表格です。
 
とりわけ日本人は木の文化を纏っています。
大きな大黒柱、立派な木の梁材への愛着は強く、家を再生させるか、解体新築するかの基準にすらなります。
 
木は軽くて優れた応力を持つ構造材でありながら、人の肌に触れる内装材や家具は木材なくしてなりたちません。
健康自然塗料とあわせて使うことで、何よりも健康な建材です。
 
木の骨組み(構造)をインテリアに力強く見せる家の作り方は、伝統的な日本の民家の作法です。
 
きなりの家は、棟梁たちと建築家が一緒になって、「現代の木の民家」を追求しています。
民家再生の志向だけでなく、気密や断熱、床暖房を駆使した快適さと木材のあり方もこれからの住まいにとって重要なテーマです。
 
木の調達から、その素性と使い方、用途用途で使い分け木を活かすデザインとディテール。わたしたちの熱い熱い課題です。
 
森の木がCO2を木材という炭素に固定し、家具や木の家として永く使われる。それは街の中に炭素を固定することになるから、「街の中のもう一つの森林」と呼ばれているゆえんす。
木の家を永く使うことがエコロジーなのです。
 
 
関連記述:きなりの家の歴史 
岡山工務店からきなりの家への30年  参照
 
   宇野忠秀

 

 VOLパッシブな快適さと棲み方

 
風や太陽に寄り添うように暮らす家
 
人が、気持ちよく快適に感じるのは、ハイテクなものでなく、気候のよい森林浴のあの清々しさ、春の陽だまりのなんともいえない心地よさです。
 
陽射しや風を、せいいっぱい取り入れる工夫をし、建物そのものを夏涼しく、冬温かく過ごしやすく建てる技術をパッシブな手法とし、その様々技術の研究が進んでいます。(逆に、機械でハイテクな技術を駆使する方法がアクティブな手法です。)
 
もともと、日本人の住居観も、自然と寄り添うように暮らすことでした。大きな屋根で、夏は陽を遮り、冬は室内深く導き、雨戸で風の調節をする。京の町屋では打ち水で涼風を呼ぶのが風物でした。
 
人々は快適に暮らすために、その国、場所個有の方法を見つけてきました。
 
きなりの家は、その日本本来の住居観に、断熱性能と蓄熱性能を加え、「冬は陽射しを貯め、夏は冷気を取り入れ貯める」家づくりに取り組んでいます。
 
きなりの家は、大きな窓とその配置の仕方に特徴があります。陽射しや、風のための窓、緑の中で暮らしているように構成した窓などです。
 
パッシブな暮らしの心地よさを実現したいと考えるからです。
 
住まいづくり講座 VOL4に記述があります)

 
   宇野忠秀

 

 VOL水と緑化 エコロジーへの取組み

 
森が田畑に替わり、開発されて住宅地になる。
それまで地下に浸透していた雨水は、屋根から樋、側溝、川へと一気に流れ込みます。
「川が氾濫して洪水」の原因となります。
大都市では、高速道路や大型建物の地下にまで水瓶を必要とする時代です。岡山市の水道も旭川上流に森を育て、水の安定供給を図っています。
 
きなりの家に降る雨は土地に返そう」と考えました。
屋根はセダムで緑化。植物が保水した雨水はゆるやかに樋から落ち、その水をタンクで受け、ビオトープの小川に上げ、水音をかもし、うねり流れ、石壁を落ち、自然の勾配(サイホン)で次の流れに湧き出ます。そんな循環の中で、蒸散、地下浸透しバランスしています。
 
きなりの家が建つと町に緑が増える」といわれます。
家を建てる時、木を植える。植えた木は町並みに潤いを添えるだけでなく、暮らしの中の喜びとなるように。
 
夏の陽射しを遮り、冬は落葉した木陰を通して、柔らかくやさしい陽射しが、奥深くいっぱい入ってくるように。
 
自然の恵みをいっぱい取り入れる家を作ろう、もったいない、大切にしようとする気持を住まい作りの基本の姿勢にしようと、
 
水や緑化の取組みは、エコロジーに対する小さな発信にすぎませんが、それが、きなり流住まいづくりです。
 
   宇野忠秀