絶景と心地よさを取り込む贅沢空間
空に開くスキップフロア 設計:田中賢二・中奥菜摘/施工:藤原幹也/大工:中西正
ようやく出会えた理想の土地
最初にこの土地を見に来たのは、まだ造成に着手すらされていないとき。しかしTさん夫婦はほとんどその場で、「ここがいい」と気持ちが固まっていたという。それまでに不動産会社やネットに上がっている土地情報を調べ尽くし、さらに自分たちでも空き地を見て回ったり、開発業者に問い合わせたりして土地を探し続けていたTさん夫婦。ここに宅地が開発されそうだという最速の情報は、そんな努力の甲斐あってつかんだものだった。

土地は山の中に拓かれた、6区画の分譲地。その中で、ご夫婦も設計士もそろって迷うことなく北端の区画を選んだ。敷地に立つと足元の斜面には豊かな緑が茂り、どこまでも続く空と、その下に広がる岡山の街を一望できる。プランはこの一番いい景色を、リビングはもちろん、家のいろんな場所から楽しめるよう作られている。
日差し、風の流れ、景色を自然に逆らうことなく設計
自然の営みを生活の一部に
借景が家の一部かのような存在感をもたらすリビング
敷地は南北軸から45度近く振った四角形となっており、南西に道路、南東に隣家、北西に市街地の眺望がある。この条件から設計士が導き出した最適解は、メインの開口を北西2面に設け、南の採光を適度に制限すること。一般的な南面採光を重視する住宅のセオリーとは異なり、窓を開いた時の「眩しさ」を軽減するよう配慮することで、居心地を損なうことなく窓を開け放つことができる。

もちろん、一番の目的はすばらしい高台の眺望。2面にわたり吹き抜けの天井いっぱいまで入ったガラス窓から、外の風景が大迫力で映る。「空や山だけじゃなくて、街の景色が見えるのがすごく気に入っています。なんといっても夜景が本当にきれいなんですよ」と奥さまは笑顔をほころばせる。

日中、北の窓からはやわらかな光が入り、部屋全体にまんべんなく明るさを届ける。「逆にこれだけ大きな窓が南向きだと、日差しがきつすぎてカーテンを閉め切ることになってしまいますからね」と担当スタッフは説明する。西日の影響については、建物の平面計画の工夫で対策しており、現状ほとんど気にならないそう。「西の窓から、夕日が街の向こうに沈みきる瞬間まで見えるんです。これにはちょっと感激しましたね」とご夫婦は声をそろえる。
木を基調とした中に、グレーのタイルが洗練された印象を与える
湯舟に浸かったときの目線の高さに緑が見える
ネイビーブルーの壁が落ち着いた雰囲気の寝室
切り取る景色の美しさも考え設けられた窓
家の中にある居場所
建物は基本的に南北に正対して建てられているが、キッチンなどは敷地の辺に合わせて斜めに設け、空間に変化をつけている。

キッチンは奥さまの希望で半独立型に。必要な機能がコンパクトに配置された空間で家事に集中できるうえ、ダイニングと斜めにつながることで出入りがしやすく、自然な動線で配膳できる。壁付けのキッチンはちょうど北西向きになり、料理をする間、いつでも目の前の眺望を楽しめるという仕掛けだ。和室も角を落として北西向きの斜辺を作り、片隅の書斎コーナーから景色を眺められるようにした。

また、PCカウンターの設けられた中2階も、家族みんなのお気に入りスペース。2面の窓に映る眺望もリビングの様子も、高い位置から気持ちよく見渡せる。「家の中にいろんな居場所が作られていますよね。子どもたちと、今日は中2階でお絵描きしようとか、テラスでおやつにしようとか、あちこち場所を変えて遊べるのが楽しいです」と、ご主人は目を細める。
額縁に飾られたような緑を楽しめる中2階のスペース。
設計のどの部分にも意味がある
玄関から直接入れる和室は客人への「おもてなし」を叶える
客用の玄関から入ると、数段の階段を上がって畳敷きの短い廊下がそのまま和室につながるという、ちょっとユニークな構造。リビングは畳廊下から一段下がったダウンフロアとなり、ほっとするような落ち着きを感じられる。

完全に壁や建具で仕切れる部屋は寝室のみで、それ以外の空間はすべて壁の上部が抜けており、天井から外の軒先まで視線の行き止まりがない。眺望を活かすためにあえて植栽が少なめの外構は、風通しもよく、窓を開けると外にいるのと変わらない開放感があるという。

「機能の面はもちろん、景色がきれいだとか、風が気持ちいいとか、そういった部分まで設計によって実現されていることにとても満足しています」と奥さま。ご主人は「例えば『スキップフロアにしてほしい』という要望に対して、こちらが予想もしないような発想で応えてくれるのが『きなり』さんのすごいところ。ただ言われた通りに段差を作りましたというのではなく、本当に意味のあるものになっていることに感銘を受けました」と話す。なによりも、家じゅう使って飽きることなく遊ぶお子さんたちの様子から、住まう楽しさが伝わってくるようだった。

取材担当 吉田
クローズドな空間と、リビングへのオープンな繋がりを両立したキッチン
モダンなリビングと調和するよう素材や質感にこだわった和室
広々としたテラスはリビングの延長感覚で楽しめる
自然光と風が家中に渡る開放的な間取り
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