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彩りと住む

敷地を活かす間取りで、「自然」も「暮らし易さ」も取りこむ

「わが家」を象徴するガレージと玄関

深い軒の駐車スペースとガレージは建物と一体化したデザインとした

 40代で待望のマイホーム。だからこそ、「落ち着いた木の温もりのある家、シンプルで上品、本物の素材が醸し出す上質な質感」を求めていたというHさんご夫妻。「き」なりの家の見学会に参加し、「自分たちの志向にぴったりだと認めつつも、コスト的に難しいと一度はあきらめかけた」という。
 それでも、「提案力の高さは他社と比べようがなかった。その圧倒的な提案力は、何より価値があると思いました」と、決断に至った。

 最も強くご主人の心を捉えたのは、住まいと駐車スペースとガレージを一体化させるというアイデア。「既成品を備え付けるのではなく、一から設計して造っていくということ自体驚きでしたが、きなりの家はこういう手法を得意としているそう。おかげで、わが家を象徴する素晴らしい外観デザインが完成しました」。
 奥様は「敷地は南の市道に面していながら、玄関を東向きにしているため、玄関までのアプローチも、ただの通路でなく、お客様をお迎えするにふさわしい趣が生まれたと思います」。職人がオリジナル製作した存在感たっぷりの玄関ドアも奥様のご自慢だ。

「新しい自分」を教えてくれた庭

四季の彩りを感じるプライベートな庭は室内の開放感にも寄与している

 敷地南側は地域の生活道路で、通行量が多い。そこで、ガレージに連なる塀を設けて外からの視線をシャットアウト。塀の内側には、芝生の緑が美しい庭が広がる。
 実は、庭を造ることには、「手入れが大変そう」というイメージから抵抗があったというHさんご夫妻。 しかし、「今では庭がないなんて考えられない」というほどお気に入りに。

 「葉が落ちたり実がなったり、季節ごとに移り変わる眺めに癒されます。そしてLDKからの視界の抜けとなって開放感抜群です」と、庭のある暮らしを満喫している奥様。「子どもは毎日のように、裸足で芝生を駆け回ったり、岩をよじのぼったりして遊んでいます。その姿をリビングやキッチンに居ながら見守れるのもいいですね」とほほ笑む。
 ご主人は、「目隠しの塀のおかげで、庭に面したリビングの大開口はカーテンなしで過ごしています。南北に長い敷地のため明るさに不安がありましたが、自然光に満たされるLDKは、本当に気持ちいい」。芝刈りなど、心配だった手入れも、今ではご主人の休日の楽しみの一つ。「自分がこういうことにはまるとは思ってもみなかった」と、嬉しい驚きを隠さない。

玄関の地窓を通して緑が客人を向かえ入れる

ダイニング横の引き戸は散らかりがちな小物類をまとめて収納するスペースに

バックヤードとしてのパントリーは動線の回遊性を持たせている

大容量のWICで季節物の整理も簡単に

「南北の長さ」を最大限に生かしたLDK

"使い易さ"と"隠す"を両立した背面収納は自然石のカウンターも備える、開放的で明るいキッチンとなった

 南北に細長い敷地のなか、LDKの「広さ」を追求するために、何度も検討を重ねたのはキッチンの配置。南北にキッチンカウンターを配したH邸オリジナルのスタイルによって、南側の庭に加えて、北向きにも「視界の抜け」を生み出した。
 「冷蔵庫など生活感の出るものを、リビング側から見えないように、しかも使いやすい動線にしたかったんです。流行の対面型やアイランド型も検討しましたが、そうしていたらリビングからキッチン収納が丸見えで、多少なりとも圧迫感があったはず」と、振り返る奥様。
 「キッチンカウンターと収納を南北に配置した結果、収納棚がリビングから見えなくなるので、思い切ってオープン棚にしました。いちいち扉を開け閉めする必要がなく、使い勝手が格段にアップしました」と、実用面でも大きなメリットを生んだ。

 リビングとダイニングの間に配された収納もポイントだ。大容量なのに圧迫感がなく、かえってスッキリと感じさせる。「来客の際は引き戸を閉じ、ふだんの生活では戸を開けたままにしておけるのが便利。とりあえず何でも放り込めるようにと造ってもらいましたが、“見せる収納”を工夫しようと話し合っているところです」。

「未来の暮らし」も踏まえた生活提案

リビングは大開口の窓から、庭の緑、光、空間の奥行きを取りこむデザインとしている

 夫婦の寝室は1階。寝室そのものはコンパクトながら、クローゼットやサニタリーとの動線に綿密な配慮が施されている。「1階で生活のすべてが完結するので、高齢になっても暮らしやすいですし、もちろん今現在もとても使いやすいです」と、ご夫妻そろって喜ぶ。
 また、寝室を1階にしたおかげで、2階に書斎を設けることができた。「2階が子ども部屋だけになるより、書斎に出入りすることで子どもたちとのコミュニケーションの機会が増えそう」と、お子様たちの成長を待ちこがれる様子がうかがえる。

 敷地面積こそ広いものの、L字型で南北に細長い独特の形状。周囲を隣家に囲まれて制約の多い中で、耐震性能も高水準で実現しつつ、開放感ある住空間、高感度なデザインを兼ね備えたH邸。
 「思ったことは小さなことでも投げかけました。それに対して、面倒がるどころか、『やりがいがある』と言ってもらえて、臆せず自分たちの想いをぶつけることができました」と、振り返るご夫妻。
「こちらが言い出す前に積極的にアイデアを出してくれることもしばしば。それがいつも、“こうしたい”の一歩先の提案になっていて感動しました」。課題だったコスト面も、「お金をかけるところ、節約するところのメリハリをつけた提案」となって、安心して家づくりに取り組めたという。

 「新居で紡ぐわが家の歴史は始まったばかり。この家とともに、積み重ねる年月が楽しみ」と、笑顔が絶えないHさんご夫妻だった。


(取材ライター:川田)

見通しのきくキッチンは庭で遊ぶ子供達にも目が届く

青のタイルが印象的な洗面は洗濯脱衣室と一体的に使えるように

庭を活かす窓で暮らしに彩りを

シャッター付きガレージは室内からも行き来ができる