お気に入りを持ち寄って、暮らしを楽しむ住まい
姉妹で暮らす思い出ギャラリー 設計:石田博・岩埼瀬里香/施工:時光和貴/大工:河田修
姉妹で建てる、心やすらぐ木の住まい
この家に暮らすMさんとIさんは、気のおけない姉妹の間柄。もともとお互い単身で生活していたが、お父さまが亡くなり、実家の土地を空けておくわけにはいかないということから、「じゃあもう2人で帰ろうかって。この先家賃を別々に払い続けていくのももったいないですし、それなら思い切って一緒に新しい家を建てちゃえ、ということになりました」と、そろってほがらかな笑顔を見せる。

お姉さんのMさんは、デジタルでの絵画制作を趣味とする芸術肌、妹さんのIさんはトライアスロンを完走するスポーツウーマン。見るからに正反対の2人だが、同じ子ども時代を過ごしてきた姉妹同士、肌になじむ感覚の部分はやはり同じのようで、自然の心地よさを感じる落ち着いた住まいが共通のイメージだった。
そこで見つけてきたのが「きなりの家」。コンセプトハウスを2人で見に行き、すぐに気に入って依頼を決めたそうだ。
お気に入りの家具や絵画に囲まれて暮らすリビングと中2階の書斎
つかず離れず、がちょうどいい
お互いの居室の間にあるテラス。網戸を閉めれば居心地の良いリビング空間に。
それぞれ自分の仕事をもち、夜勤などもあって2人の生活時間は不規則かつバラバラとのこと。長く自立して生活してきた2人であり、「ひとつ屋根の下だけど、密着はしない」ことが第一の要望だった。

それをふまえて作られたのは、コの字型の家。テラスを挟んで、Mさんの部屋とIさんの部屋がほどよい距離感で向かい合う。どちらかが夜遅く帰宅しても、窓越しに向かいの部屋の明かりが見え「あ、いるんだな」と思う。「顔は合わさなくても、それだけわかれば充分なんですよ」と、Iさんはほほえむ。

共有スペースであるLDKは、明るく気持ちのよい吹き抜け空間。オークの床、ヒノキの天井の内装にお気に入りの無垢の家具をそろえ、各自の好きな雑貨を好きなように置く。吹き抜け上の壁面はMさまの絵画作品をいくつも飾り、ダイナミックなギャラリーコーナーに仕立てている。

もちろん、時間が合えば一緒にごはんを食べたり、テレビを見て雑談したり。1匹の猫もいて、愛らしい姿に心が和む。
網戸付きの外のテラスはまさにアウトリビング。ソファに座って中庭を眺め、涼しい風に吹かれながら、ビールを楽しむのが至福の時間だ。
リビングからギャラリーを見上げる
お互いを認識できる寝室
洗面・トイレは好きな色合いで統一
木とタイル、質感のコントラストが良い
将来まで安心して暮らすために
道路面から玄関土間、ホールまで段差なくフラットに続き、居室に入る手前で2段ほど上がる構造。玄関土間は広く、今はIさんのトライアスロンバイクが大事に置かれているが、将来もし車椅子を使うようになったときに、スロープを作れるだけの面積を確保している。
玄関から続くサニタリーも引き戸にし、2つあるトイレの1つは個室でなくサニタリー内に半オープンに設置。これも車椅子での生活を考えたものだ。

サニタリーからはWICを通り抜け、東南端のランドリールームへ。そこからMさんの部屋へと通じ、ぐるりと回遊する動線が作られている。必然的に洗濯はMさんが担当することが多いといい、そのゾーンはあちこちにMさんの好きなピンク色を取り入れ、気分の上がる空間となっている。
また、玄関土間の上階にあたる部分にはMさんのアトリエもある。玄関をリビングの床面よりも下げたことでアトリエは中2階の高さとなり、建物全体のボリュームも低く抑えられた。

室内にいればのびのびとした開放感を感じるが、外の通りから見ると窓は少なく、閉じられた印象。大きな窓を高所に多く設けることで、カーテンを使わずプライバシーを守れるようにしている。
半地下の玄関。広々とした土間が確保できるのは、スキップフロアのおかげ。
その場での自由なセッションが楽しい
重ねた打合せのなかで生まれた室内窓。玄関に抜ける視界が楽しい。
プランニング中は、2人の休みが合うわずかな時間を縫って、打ち合わせに通った。
「事前に相談しあうこともほとんどなくて、いつも打ち合わせの場で、初めてお互いの考えを知るという感じでしたね」と2人は笑うが、設計士を交えてその場で作り上げていく時間は、とても充実したものだったという。
「設計士さんも、ただ私たちの言う通りにするのではなくて、要望を聞いた上で『だったらこうしたほうがいい』といった意見をどんどん出してくるんですよ。なので私も負けずに自分の考えを伝えるという、そんなやりとりの過程が、すごく楽しかったですね」とMさんは満足そうな笑みを浮かべる。

また現場の棟梁も、その場の判断でいろいろな提案をしてくれたそう。例えば玄関とリビングの間の室内窓は当初の図面にはなく、現場でみんなで意見を出し合って仕様を決めたのだとか。
ここに窓を設けたのは大正解で、リビングから玄関土間の高窓まで視線が抜け、その先には山の緑がちらりと見える。細部まで工夫を凝らし、姉妹で気兼ねなく楽しく、安心して暮らせる住まいとなった。
ペンダントライトは釣り竿風の設置
お庭とテラスを囲むそれぞれの個室
換気効率のよい、洗濯乾燥室
玄関アプローチは石畳に
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