北採光と木組みと織り成す美しき陰影が
自然と暮らしを心地よくつなぎ合う
時雨庵~木組みが空間をつなぐ家~ 設計:田中賢二/施工:藤原幹也/大工:河田修
どこにもない、自分たちだけの家づくりを
奥さまは無類の建築好き。気に入った建物を見つけるとそれが飲食店や商店であればもちろん、たとえ見知らぬ人の住まいであっても臆することなく訪ね、“自由見学”を申し入れるほどだったという。
そんな奥さまだから、自らの家づくりへのこだわりが格別強くて当然。ご主人と連れだってあらゆるメーカーや工務店を渡り歩いたものの、研ぎ澄まされた感性を満足させるメーカーや工務店にはなかなか巡り合えず8年の時が過ぎた。

けれどそんな中、唯一、その心をつかんだのが『「き」なりの家』だ。
大開口が風景を取り込み、四季の移り変わりを感じることができる
焼き杉の外壁、大きく出た軒と土間は昔ながらの日本家屋のような佇まい
周囲の自然と家とを一体にする古き良き日本家屋のスタイルと、素材の個性を知り尽くし、最高のカタチで生かすための知恵と技術を持った職人たち。機能や意匠性だけではない、五感にアプローチする匠の心意気に「ここならば、思い描いた通りの家づくりを叶えてくれる」と感じた。
小屋組みが大きな吹抜けになる
一段上がったリビング
階段から北の窓に視線が抜ける
奥様がこだわった玄関照明
心身を柔らかく包み込む北採光の心地よさ
北側中2階に設けた大窓から届く光が家中を照らし、むき出しにした天井にのびる幾本もの梁が、格子を思わせる美しい木組みで華やかな彩りを演出。
家の中心に鎮座する小上がりの座敷にごろりと寝そべれば、北採光が創りだす柔らかな陰影がその視線を極上のくつろぎへと誘ってくれる。「光は量ではなく質」とあらためて思い知らされるような心地だ。

軒下にはゆったりとしたテラス土間が広がり、そこから1階ホールから座敷、さらには中2階、2階へとすべてが緩やかにつながり合っていく。

敷地内にはご主人の実家である“母屋”があり、あえて玄関を設ける必要はないと、のびやかに広がる庭からテラス土間、室内まで、一枚のガラス戸のほかには明確な仕切りを設けていない。
「訪れてくる人はみんな知り合いか、友達だから」とインターホンすら設置せず、既成概念にとらわれない生活スタイルからはオープンな御夫婦の性格が伺える。

夫婦2人暮らしということもあって、それほど多くの収納は設けなかったが、奥さまの雑貨は中2階のフリースペース、ご主人の趣味の自転車は階段下の“隠し部屋”に十分収まっている。
無駄なものは一切ない。さらに言えば、生活感もあまりない。けれど、それがかえって、何ものをも受けとめる大らかさとなって、夫妻の感性をより豊かに開いているように見えた。
あえて玄関をつくらず緩やかに土間へつながる
すべての空間をゆるやかにつなぎ合う
軒先に樋をつけないのは雨の日を楽しむ設え
「特別変わったことをしようとしたわけではないんです。ただ、せっかく一から自分たちの家を建てるのに、どこにでもあるような家をつくってもつまらないでしょう」。
ご主人は当時を振り返ってそう微笑むが、なるほど、その言葉通り、完成した住まいに決して奇をてらった印象はない。外観は一見、昔ながらの平屋建てのようにも見える。
しかし、わずかに意識してみれば、そのごく自然な佇まいの中に一般的な日本家屋とは大きく異なる要素がふんだんに盛り込まれていることに気づくだろう。

例えば、軒先。あえて雨樋を設けなかったことで、屋根本来のシャープさと荘厳さ、重厚感が引きたてられている。
「雨の日にお寺に行くと、軒先のあちこちからぽたりぽたり、と雨水が落ちているでしょう。雨降りならではのそんな風情が、自宅でも味わえればいいなと思ったんです。濡れないように通るためには、多少の注意が必要ですけどね(笑)」。水跳ねを抑えるために長く低く延ばした軒先で、晴れの日は、南からの強い日差しをコントロールすることもできる。
木組が全体を繋ぐ開放的な空間
力強く大胆な木組み
吹き抜けへとつながる地窓障子
1階奥はご主人の”隠し部屋”
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