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2023.11.11

つぎはぎ

 

­ 同じような意味の「継ぐ(つぐ)」と「接ぐ(はぐ)」。テーブルなど幅の大きな木の板は、小さい幅の木を接いで作っていたりします。接ぎ方は様々で、蝶々がいたり 実(さね)を雇ったり 見えないところで金物を使っていたりします。

‌‍   せっかくなので10年ほど前に作った鑿(のみ)箱を紹介してみます。最近少し使う機会があったのと、その時に建具屋さんに褒められたので少し浮かれております。

­‏  わかりにくいですが、蓋は薄い板を接いだものになっています。

‌‍   二枚の板はつまみを差したり引いたりして、下の板に引っ掛けることでスライドさせて開け閉めします。そうです、半分ずつしか開かないのです。

‌‍   なぜそうしたのかと言いますと、この鑿箱の作り方に秘密があります。じつは、釘やビスを使っておらず、枠が水組という組み方で、斜め方向にしか外れないようになっています。底板も枠に掘った溝に差さっているので、箱自体が菱形に変形したりもしません。でも、枠を四方に少しずつ広げていけば 蓋、枠、底板 をバラバラにすることができます。

‌‍   理由は、鑿箱の一部が破損した場合にその部品だけ新しくすることができるようにしているからです。そうです、10年前からSDGsを始めていたのです。

‌‍   また、中にも細工がしてあり、鑿を回転させながらでないと取れないようになっています。運んでいるときも鑿が中でバラバラにならないようにです。そうしないと蓋が半分しか開かないので大変です。

‌‍   しかも、この鑿を固定している部品も底板に蟻桟で組んでいるのでスライドさせて取ることができます。(組むのが大変だった記憶があるので、写真の為にバラすことは諦めました)

 

‌‍   たくさんの部品を継ぎ接ぎした鑿箱。そう言うと聞こえは悪いですが、柔軟な人間になれるよう昔の自分が考えながら作ったのでしょう。色んな考えや意見を柔軟に取り入れていける、そんな人間に改めてなりたいと思いました。そういうことにしておきましょう。

 

 

金光