TOP家づくり物語自分時間、家族時間 繋がり集う家

自分時間、家族時間 繋がり集う家

3世帯同居を叶えるこだわりの空間設計

光が満ち、開放感を感じるLDK

広い玄関の正面には大きな窓、景石と植栽が出迎えてくれる

「こんぴらさん」と親しみを込めて呼ばれる金刀比羅宮からほど近い閑静な住宅地。その一角に静かな佇まいを見せるのがY様の住まいだ。広い敷地にほぼ平屋でどっしりと構える建物は、白壁に縦格子がアクセント。ただ、人目のある通りから見ても、中の様子は伺い知れないつくりになっている。

しかし、いざ中に入ると、まずは空間の広がりに驚かされる。玄関には細かい玉砂利洗い出しの広い土間。視線の先にはまだ葉をつけていない立派なモミジが姿を現し、季節が変われば青々とした若葉や見事な紅葉で訪れる人を出迎えてくれる。

さらに、ウォークイン収納でスッキリと整った土間と廊下を抜けると、まぶしい光と共に、家族が集まる広々としたLDKが目に入る。南と西の2面を全面開口とし、温かな日の光に満ちたLDKは、周囲の人目が気になることもなく、開放感にあふれている。

「日差しの入る向きや風の流れ、まわりの建物の配置などを考慮して、入念に建物の向きを吟味しました」と話す設計担当者。木のぬくもりを感じられる内装と、日の光を穏やかに反射する白い壁のバランスもよく、勾配天井の斜めラインの効果もあって、より広がりを感じる居心地のよい空間となっている。

3世帯4人+αで心地よく暮らせる工夫

無垢床と蓄熱床暖で真冬でも素足が心地良い

「退職」という人生の節目が近づき、その後の人生を"どこでどう過ごすか"を考えたというY様ご夫婦。長年暮らした大阪の家に住み続けるという選択肢もあったが、香川にはお母様と伯母様がご健在。お母様方が暮らしていた住まいが老朽化して暮らしにくくなっていたこともあり「思い切って3世帯の家族が一緒に暮らせる住まいに建て替えることを決めました」。

そこで、家族が集まって一緒に食事をしたり、おしゃべりしたり、和やかな時間を過ごすメインのLDKには、大人数が集まってものんびり過ごせる十分な広さと居心地の良さを追求。その一方で、3世帯それぞれが気兼ねなく自分の時間を過ごせるように、プライベートゾーンの配置にもこだわりが見える。

お母様、伯母様の個室にはそれぞれミニキッチンや冷蔵庫を備え、お茶を入れたり簡単な食事を準備したりもできる。また、個室と個室の間には車イス用トイレやお母様用の浴室といった水廻りを配置し、バッファゾーンとする事でプライベート性と利便性を両立させた。ダイニングに隣接する壁は防音処置にプラスしてクローゼットを設けることで音の配慮も。Y様ご夫婦の寝室はメインLDKの奥になるので「お互いに音漏れなどを気にせず、心からくつろぐことができますね」と奥様も満足そうだ。
さらに、和室と2階の趣味室もそれぞれ独立したつくりになっているので、お子様ご家族の帰省時や、ご友人のお泊りでも快適に過ごしてもらえる余白も十分にある。

ミニキッチンを見えにくい配置とし、一室でも快適性を確保

独立させた和室はモダンなイメージで

車イス用のトイレは部屋近くに配置し使い易く配慮

玄関扉まではスロープがあり車いすでも楽にアプローチ

車イスでアクティブに楽しむ毎日

直接外へ出る事が可能な叔母様のお部屋は、建替え前の生活スタイルを残せるよう計画した

伯母様の個室は車イスでも過ごしやすいよう、室内は通路の広さはもちろん、水栓の高さやスイッチの位置など、さまざまな工夫に満ちている。

デイサービスを利用するため、お迎え用の駐車場に直接出られる引戸扉を設置。この部屋は通りにも面しているため、伯母様のご友人が訪ねてくるにもちょうどいい配置になっている。「もともと社交的な人なので、今でもしょっちゅうお友達が遊びに来て、にぎやかに過ごしているようです。同居後もこれまでの暮らしを変えることなく、快適に過ごせているのもうれしいですね」と奥様。

車イスが使いやすいように、キッチンは市販のものをアレンジ。天板下の出っ張りを削って足を入れやすくしたり、天板からつながるようにテーブルと収納が一体化した家具を造作したり、「ひとつひとつ、細かく相談しながら調整してもらいました」。

こだわりを積み重ねて暮らしやすく

みんなが集うリビングダイニングからは「こんぴらさん」を望む眺望も

家づくりに当たっては、本当に細かいところまでこだわったというY様。要望に応えようとする設計担当者や現場の職人さんたちの思いもあいまって「本当にいい家になったなと満足しています」と笑顔を見せる。

対面式のキッチンは背面収納との間を十分に取り、奥様やお母様、娘さんたちが遊びに来たときでも一緒に料理を楽しむことができる。リビングは音響にもこだわり、大好きな映画鑑賞を全身で感じるように最高の音で楽しむことができる。さらに庭に目をやれば、庭には赤い椿の花(取材時は2月)。四季折々で表情を変える庭の木々の成長も今から楽しみだ。

さらには、各部屋には風通しのための開閉窓を設け、風が心地よい季節には家中に風の流れが生まれるように工夫しているそう。一緒に暮らすワンちゃんのためにリビングの一角に土間を設けたり、郵便物を手早く取り込めるように室内に取り出し口を設けたり…。一つ一つのこだわりがこの家の住みやすさにつながっている。

仕事の関係もありご主人はまだ大阪での暮らしを平行しているが「休みの日にこの家に戻る度、定年後、この家で暮らすのが本当に楽しみになりますね」と嬉しそうに話してくれた。

取材担当 西村

玄関からリビングへと続く通路には印象的なニッチが誘う

手摺付きのウッドデッキは広めに造り日向ぼっこが気持ちいい

浴室からタイルデッキへ出て簡易露天風呂も楽しめる

シアタールームにもなる2階の趣味部屋