最近の新築住宅の所要室にかなりの高確率で採用されることが増えたのが「洗濯乾燥室」です。
「洗濯乾燥室」とは文字通り、洗濯した衣類を室内で乾燥させる為の専用のお部屋です。設計によっては洗濯機もそこに設置して、洗ったその場で乾燥させていく場合もあります。
お部屋自体の設計は、日射取得の配慮や機械的な乾燥機能も合わせて、外干しと同等の乾燥機能を持たせます。
なぜ、最近になって採用される機会が増えたのかにはいくつか理由があると考えられます。
まず一つの要因は、花粉症の方の増加や大気汚染に対する意識の変化です。
衣類に付着する微細な物質により健康に影響を及ぼす為、外部に洗濯物を干せない方もかなりの割合で増えています。
そしてもう一つは、「少しでも洗濯の時間を効率化したい」その願いを建築が叶えようとする工夫です。
洗濯ものを洗う行為そのものは自動的に機械がボタン一つで終わらせてくれますが、その後の分別と片付けまでは自動化できません。技術の進歩で、何事も自動化できる時代になっても洗濯の「乾燥」と「分別」が家事労働時間の多くを占めることとなります。
そこで洗濯乾燥室が室内にあると、干したまま外出しても盗難や汚染の心配が軽減されるのと同時に、洗濯乾燥の為に有る場所であるが故、次回洗濯するまで「干したまま」が許されることになり、洗濯を取り込んで片付け終えるためのスケジュールに余裕が生まれます。また、乾燥室とクローゼットを併設させておけば、片づけ物も最小限の移動と最短の時間で完了することが出ます。
そもそも洗濯ものをハンガーにつるした状態で回してゆく「たたまない派」にとっては、洗濯、乾燥の後、ただ衣類を移動するだけで事足りる最も効率的な設計となります。
家事をこなす人の多くが仕事や育児をこなしながら忙しい毎日をおくるなかで、少しでも時間の余裕が欲しい現代の人の求めに従い、住まいにおける洗濯のありかたも少しずつ変化することが求められているようです。
営業設計担当 田中賢二